更年期は女性だけと思っていませんか?
実は男性にも更年期があるのです〜
「更年期障害」といえば、女性のイメージがありますが、男性にも「更年期障害」があるということは、まだあまり知られていません。
2022年に厚生労働省が行ったアンケートによると、男性更年期について「よく知っている」と答えた男性は、発症しやすい50代でも16%ほどとほんの一部です。
女性に比べると、認知度が低く、“年のせい”と見逃されているケースが多くあります。
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1546.html
更年期障害の可能性があるかどうか、まずは自分でチェックしてみましょう。
①性欲が低下した
②元気がない
③体力が低下した
④身長が低くなった
⑤毎日の楽しみが少ない
⑥もの悲しい・怒りっぽい
⑦勃起力が弱くなった
⑧運動能力が低下した
⑨夕食後にうたた寝をする
⑩仕事がうまくいかない
10項目のうち、1または7に該当する場合、あるいは全体のうち3つ以上の項目に該当する場合は、更年期障害の可能性があると考えられます。
上記に当てはまり、体調が悪いと感じる場合は、医療機関の受診をお勧めします。
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_439.html#theme4
血液検査によりテストステロンが減少していたら、生活習慣病に関わる
テストステロンの分泌が低下すると、体や心にさまざまな症状が現れるだけでなく、深刻な病気につながるおそれがあるので注意が必要です。
テストステロンには、臓器の機能を維持し、炎症を抑える作用があります。
テストステロンが減少すると、中性脂肪やコレステロールの代謝が低下したり、内臓脂肪や皮下脂肪が増えやすくなります。
その結果、肥満や糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病を発症するリスクが高まり、動脈硬化の原因ともなります。
まだまだ働き盛りの世代ですから、大変ですよね?
また、テストステロンには血液の流れをよくする働きがあります。
テストステロンの減少を放っておくと、動脈硬化が進行し、心筋梗塞、狭心症、脳卒中といった命に関わる病気のリスクが高まります。
このほか、テストステロンには、記憶をつかさどる海馬(かいば)を活性化させる働きもあるので、減少することで認知機能が低下し、認知症につながるおそれがあります。
男性更年期障害の治療法をご紹介!
漢方薬での治療〜女性の更年期障害でも漢方薬があります。
血液検査で、血液中のテストステロンの値がそれほど低下していない場合や症状が軽い場合は、漢方薬や症状に応じた薬を使って治療します。
代表的な漢方薬は、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」です。
だるい、気力がない、疲れやすいなどの症状の改善に有効で、年齢を問わず使用できます。
また、ストレスがあると分泌されるコルチゾールというホルモンや、コルチゾールの分泌を促す副腎皮質(ふくじんひしつ)刺激ホルモンの分泌を低下させる作用があります。
補中益気湯を1か月間程度使うことで、症状の改善が期待できます。
そのほか、男性ホルモンの一種であるDHEAの分泌を高めるのに有効な「八味地黄丸(はちみじおうがん)」を使うことがあります。
また、コルチゾールの分泌を低下させることでテストステロンの分泌を高める作用がある「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」は、比較的年齢が若くストレスを強く感じている人に勧められます。
症状に合わせた薬物療法
うつ症状や不安症状などがあらわれている場合は、「抗うつ薬」や「抗不安薬」を使います。
性欲の減退や勃起(ぼっき)力の低下など、性機能に関わる症状があらわれている場合は「ED(勃起障害)治療薬」を使います。
さらに、脳の疲労感、体がしんどい場合には、「ビタミンB剤」を使います。
特に精神的な疲労感が強いときには、ビタミンB6が有効とされています。
薬物療法で気をつけるべき副作用
テストステロンの補充療法というのは、基本的には安全な治療ですが、投与量が多くなると血液の濃度が上がる「多血症(たけつしょう)」を引き起こすことがあり、のぼせたり、ときには脳梗塞が起こるリスクがあります。
そのため、男性ホルモン補充療法の治療中は、1~3か月ごとに定期的な血液検査が必要です。
いずれにしても、病院での受診や正しい知識が必要になりますね!